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 ISM研究会の皆さん,今井です。追伸です。

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>渋みが全くなく,かと言って酸味もなく,ただひたすら
>甘ったるいのだ。私はこのワインをマイ・スウィート・赤ワインと名付けた。
>グラスを回すと不自然な香りが鼻に付く。

 誤解する方はいないであろうが,甘いからダメだと言っているわけではな
く,甘さしかないからダメだと言っているのである。世界には──現在では圧
倒的少数派だが──かなり甘い赤ワインがあって,例えば一部のロシア料理屋
などで飲むことができるグルジアの遅摘みの赤ワインがそうである。もちろ
ん,好き嫌いは個人の趣味としても,きちんと作られた甘口の赤ワインはしっ
かりと渋みと酸味,そして豊かな香りを残している。

 私が飲んだ,やられたワインがどのような製法で作られたのか,私の舌と経
験ではよく解らなかったのだが,かなり作為的な感じがした。ひょっとする
と,過剰に補糖されたのかもしれない。ドイツの安物の甘口白ワインのように
醸造後に果汁を補填したにしては,香りも味も平板すぎる。あの平板な味と香
りは,濃縮葡萄ジュースで作られた日本のインチキ赤ワインにも似ている。だ
が,いずれも確信を持つことはできない。

 うーん,人生はワンダーランド,インチキワインの道は奥が深い。私の知識
不足,経験不足をまざまざと実感せざるを得ない。てゆーか,インチキワイン
について,豊富な経験に裏打ちされた詳細な知識を持つのも,それはそれで悲
し過ぎるが。

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 追伸の追伸。池袋では,昨日もまたやられてしまった。立教でとある研究会
に出席した帰り,飲み屋に寄ったところ,出る餌,出る餌,食欲をそぐものば
かりだったので,私は何も手を付ずにただひたすら酒を飲んでいた。だが,健
康に良くないので何か頼もうと思い,献立を見たところ,海老しんじょうの湯
葉巻き揚げがあったので,これを頼んだ。

 驚愕その一。海老しんじょうは私もよく作るが,これは私にとっては未知の
技法で作られたものだ。私は未知との遭遇を体験した。水分とともに旨みも失
ってしまっており,しんじょうと言うよりは,出来損ないの海老焼売と言った
方がわかりやすい。元の作り方が悪い上に,揚げすぎだ。当然ながら湯葉も,
パリパリではなくバリバリになってしまい,大豆の味も香りも飛んでしまって
いる。その上低温で揚げているから,やたらと油っこい。

 驚愕その二。海老しんじょうの付け合わせに,なんと東南アジア料理でよく
使われる揚げた海老せんべい(インドネシア料理のクルップ)が付いてくる。
極低温の油でじっくりと揚げた海老せんべいは,とってもジューシー。一口噛
むと口の中いっぱいに,酸化した油が染み出てくる。

 同席した方々はみなその異様な料理に手を付けようとしない。私が注文した
以上,全部(揚げ焼売3個,油漬け煎餅5〜6枚)片付けなければならず,必死
で食べたが,涙が出てくる。胃の中で酢酸発酵が自然発生した。正に生命の神
秘だ。なんとか食べた後は,ちょっぴり酸っぱい,青春の味が残った。こうし
て,またもや私はスキップしながら,池袋の夜の帳の中に消えていったのであ
った。合掌。