日時 | 1999年10月24日(第63回例会) |
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場所 | 立教大学 |
テーマ |
「資本主義と社会主義の現実から学ぶ」(大西広著), 『どこへ行く社会主義と資本主義』(山口・森岡・大西著) |
今回は『どこへ行く社会主義と資本主義』の中で,大西担当部分「資本主義と社会主義の現実から学ぶ」について,検討を加えた。
報告者は大西の理論の柱を(1)近代主義(進歩主義),(2)生産力主義,(3)客観主義の三つに求め,それら相互の関連を探った。──資本の文明化作用は敵対的かつ社会的である。この両者は不可分なものでありながら,分裂して現れるのであって,社会性の方に着目する社会的意識形態が近代主義(進歩主義)である。進歩の主観的確信が客観的に確証されるために資本が提供している客観的基準は資本の生産力として現れる。しかし,もし労働生産力(主体的な能力)が資本生産力(客体的な威力)としてしか把握されない以上,主体的担い手も客体的にしか把握されない。
その上で,報告者は,進歩主義は──もし徹底されるならば──自己の限界を自ら暴露するということ,客観主義は(主体の意識の変革が偶然的になる以上)主観主義に転回するということ,生産力主義の理論的源泉は労働論の不十分さ(労働過程論を労働論として把握していないということ)にあるということを強調した。また,結局のところ日本特殊性論に陥って日本革命と世界革命との関連を示していないという点,プロレタリア独裁論(固有過渡期論の問題)を避けてしまっているという点で,報告者は大西を批判した。