日時 | 2000年01月16日(第66回例会) |
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場所 | 立教大学 |
テーマ |
「自由貿易問題についての演説」(マルクス著): 『マルクス・エンゲルス全集』,第4巻 |
今回は「自由貿易問題についての演説」について,検討を加えた。
この論文で,問題になるのが,『経済学的ロマン主義の特徴付けによせて』との関連である。この点について報告者が問題にしたのは,自由貿易の作用をレーニンが殆ど専ら生産力の発展に帰着させているのに対して,マルクスは生産力の発展だけではなく,生産関係の変革(民族性の解消,敵対関係の発展,インターナショナリズムの条件の産出)を重視しているということ,そして,──これと関連するが──,レーニンが自由貿易を前近代社会から近代社会への移行の要因として重視しているのに対して,マルクスはそれだけではなく,現代社会から未来社会への移行の要因として重視している(マルクスにとっては前近代から近代への移行はダイレクトに現代から未来への移行である)ということである。
その他,出席者の中から,レーニンの議論は──レーニンの意図に関わりなく──生産力主義的にとらえられる傾向にあり,この点で客観主義的な変革理論に利用されやすいという欠点をもっている(自由貿易も美化されてしまいがちである)という指摘があった。その他,資本のグローバリゼーションと労働者のインターナショナリズムとの発展の現代的意義について,議論があった。