日時 | 2000年05月28日(第70回例会) |
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場所 | 立教大学 |
テーマ | 『環境経済学への招待』(植田和弘著),第3〜5章 |
今回は『環境経済学』の中で,各論部分である第3〜5章を検討した。
第3章は廃棄物処理問題を論じている。報告者は物質代謝論の立場は供給者による費用負担に留まるだけではなく,供給者(=企業)と労働者との分離の把握を通じて,生産過程変革の必要性の把握にまで行き着くということを強調した。ゴミ有料化の問題も,この観点から評価されなければならない。更に,リサイクルの経済性を論じる時にはバージン財の利用規制の問題を無視してはならないと,報告者は強調した。なお,出席者からは,植田のリサイクル論の曖昧さ──物質代謝論に基づくリサイクル把握と,バージン財とセコハン財との区別に基づくリサイクル把握との並存──が指摘された。
第4章は地球温暖化問題を論じている。植田は地球温暖化問題解決の根本的困難を南北問題に求めているようである。報告者は,南北問題──国と国との対立──に目を奪われて,それが諸資本の対立──アメリカ国内で考えてみても,自動車業界の資本と生保業界の資本とでは立場をことにする──の現れであるということを忘れてはならないと強調した。
第5章は経済のグローバル化と環境問題との関係を論じている。一方では環境破壊にはそもそも国境がなく,他方では世界市場の形成を通じて資本の運動はますますグローバル化している。植田の場合には,資本運動のグローバル化の役割がかなり曖昧であるから,読み手の側でこれを整理しなければならない。